横浜で行政書士事務所を開業している、かもめ行政書士法人です。

「行政書士を複数の人数で行おう」と考えている行政書士事務所は、非常に少ないと思います。

令和3年10月時点にて、全国単位で行政書士個人数は50,428、行政書士法人数は892です。

令和3年6月より、行政書士法人は、行政書士1名でも設立できるようになりましたが、行政書士の求人を行うのは、行政書士法人の方が圧倒的に多いです。

【参考】日本行政書士会連合会・会員数サイトページ

なぜ、行政書士の求人が少ないのか?

行政書士法人数が、行政書士会員数の1-2%(令和3年10月)しか占めていない事実をみても、行政書士の求人が少ないことが伺えます。

士業の一般的な特徴かもしれませんが、

「コツコツ自分のペースで1人で仕事をしたい(組織で仕事をするのは、気を遣う)。」という職人的な考えが大きいかもしれません。

また、「資格のある方を雇うとノウハウが流出してしまう。」「人を雇用すると固定費が上がる。」「仮に雇用しても数年で独立をされてしまう。」「独立する際、顧客も一緒に失ってしまうのでは。」「運営面などで意見の相違や、人事的なトラブルが起きることが煩わしい。」と考える士業の方も多いです。

元々人を雇用できる程売上がなかったりするかもしれないです。行政書士でも年商に関するアンケートが5年ごと行われているのですが、年商500万円未満の方は、7割程度占められ、年商1000万円を行える方は上位10%に入ってしまう結果となっています。

1人で業務をする限界はある。

私も行政書士を開業した時、一人で自宅を事務所にしていましたが、仕事が集中すると、自分一人で打合せ、書類作成、事務手続きをすることの限界を感じるようになりました。プリンターのインクがなくなると、近くの電気屋さんに駆け込むなどし、時間が足りない思いを何度もしました。

また、行政書士一人のリスクも感じるようになってきました。

建設業許可をすると、毎年決算変更届、5年ごとに許可更新が発生しますが、顧客が数百件もいる状態になると、自然と「自分に何かがあったら、顧客はどうなるのだろう…」といった漠然な不安を抱えます。

同時進行案件数が増えると、1件ごとの業務の質が落ちてきます。しかも自分で作成し、チェックも自分という状態では、ミスにも気づきにくい状態が起こります。集中して書類作成をしているときに、電話がかかって対応したり、病気にかかったときも電話があった場合も自分で対応したり、また打合せの予定があれば、自分でやりくりをする必要があります。

行政書士複数体制のメリット・デメリット

開業当初は「行政書士で食っていけるのだろうか?」という不安が大きく占めていましたが、軌道に乗っても不安は形を変えるだけで、大きさはさほど変わらないものです。

偶々私は、米国公認会計士も受かりましたが、海外ではパートナーシップ形態も多いです。

士業複数体制の形態を取りますと、

1.複数の視点でチェックしていくので、事務所のガバナンスが効きやすい。

2.顧客へのリスクヘッジを取れる。一度に複数の顧客対応を取れる体制が取れる。

3.事務所の業務処理量の余裕を厚くすることができる。

4.業務分担を行いやすく、業務効率が上がりやすい。

等のメリットがあります。

一方で、1人体制に比べ

1.自由度が効かず、自分で思い通り仕事が進む訳ではない。

2.事務所の運営方針の違い、仕事に対する意識の差などで、待遇における不平感、不満が生じやすい。

3.意思決定に時間がかかってしまう。

などのデメリットもあります。

行政書士が複数いる事務所は非常に少ないため、実際運営面で非常にハードルは高いと思います。しかし、行政書士一人だけでのリスクも高いと考えています。そのため、複数体制して事務所を運営し、逆にその点では差別化できると捉えています。